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お嬢様♡レッスン

第86章 企み

綾芽は溜息を吐いた。

「そうだとしても、ウィルが居たここ数日間は貴方のご指導は受けておりません!」

そう言って彼女は部屋の扉を閉めてしまった。

これは困った事になったとヘンリーは焦る。

このままではフレデリクの機嫌を損ねてしまう。

無理矢理では、フレデリクの望む結果とはならないだろう。

主人が帰国するまでの2週間の間に結果を出さなければならない。

彼女に心を許して貰うには時間が足りない。

自分では無理である事を正直にフレデリクに告げるべきだろうか。

しかし、主人の望む仕事をしてこその執事である。

今日のところは引き下がる他ないが、何か策を講じなければならない。

ヘンリーは溜息を吐いた。

綾芽の肌が恋しい。

彼女の身体は最高だ。

フレデリクも彼女を抱いてみれば、あのように毛嫌いする事もなくなるのではないだろうかと思う。

兄弟で一人の女性を巡っての泥沼劇。

それはそれで面白いだろうとヘンリーは思う。

ヘンリーの心は歪んでいた。

上流階級の人間に対する妬み、理不尽な命令に対しての憤り。

そんな物が少しずつ蓄積されていき、今の彼がある。




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