お嬢様♡レッスン
第87章 執事の計略Ⅲ(ヘンリー編)
「桜子様、ご昼食の時間で御座います。…おや?どうされましたか?お洋服が…」
「何でもありません…」
「これをお召下さい」
そう言うとヘンリーはジャケットを脱ぎ、綾芽の肩に掛けた。
「有難うございます」
綾芽はそれで前を隠すと、立ち上がる。
「すみません。昼食は結構です。暫く一人にさせて下さい」
そうヘンリーに伝え、本を携えて自分の部屋へと戻った。
ヘンリーの手前、気丈に振る舞ったが、脚がガクガクと震えていた。
彼女は部屋の扉を閉めると、力が抜けた様にその場に座り込む。
自分がウィリアムに抱かれた事が、フレデリクを傷付けていた事。
あんな風になるまでに追い詰めてしまった事に胸を痛めた。
男同士。
そして兄弟。
彼は苦しんだに違いない。
愛されてはいるけれど、自分の求めている愛ではない。
自分は異性だと言うだけで、簡単に彼に抱かれる事が出来る。
血の繋がりもない為、罪悪感もない。
彼が求めても得られない物をいとも簡単に手にする事が出来る自分を彼は恨んでいるのだろう。
フレデリクの気持ちを想うと切なくて。
綾芽は彼の為に声を殺して泣いたのだった。
「何でもありません…」
「これをお召下さい」
そう言うとヘンリーはジャケットを脱ぎ、綾芽の肩に掛けた。
「有難うございます」
綾芽はそれで前を隠すと、立ち上がる。
「すみません。昼食は結構です。暫く一人にさせて下さい」
そうヘンリーに伝え、本を携えて自分の部屋へと戻った。
ヘンリーの手前、気丈に振る舞ったが、脚がガクガクと震えていた。
彼女は部屋の扉を閉めると、力が抜けた様にその場に座り込む。
自分がウィリアムに抱かれた事が、フレデリクを傷付けていた事。
あんな風になるまでに追い詰めてしまった事に胸を痛めた。
男同士。
そして兄弟。
彼は苦しんだに違いない。
愛されてはいるけれど、自分の求めている愛ではない。
自分は異性だと言うだけで、簡単に彼に抱かれる事が出来る。
血の繋がりもない為、罪悪感もない。
彼が求めても得られない物をいとも簡単に手にする事が出来る自分を彼は恨んでいるのだろう。
フレデリクの気持ちを想うと切なくて。
綾芽は彼の為に声を殺して泣いたのだった。