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初めて女性というものを知った翌日。

フレデリクは、ロンドンの友人宅に遊びに来ていた。

何となく綾芽に顔を合わせ難かったからである。

彼女の姿を見ると、どうも落ち着かない。

彼女に微笑まれると、どうして良いのかが分からない。

それで逃げる様にして、友人であるチャールズの家へと転がり込んだのである。

「僕、来週からモナコの親戚の家に行くから、それまでには帰ってくれよな？」

仲の良い友人達は皆、海外で夏休みを過ごす為、既にイギリスを出国していた。

一番遅い出国が、このチャールズなのであった。

そんな彼の部屋で寛いでいた時だった。

「キミは何処かに行かないのかい？」

カウチに寝そべりながら、本を読んでいたチャールズが、彼のベッドの上でクッションを抱えゴロゴロと転がっている友人に尋ねる。

「う～ん。兄さんが仕事だからなぁ…」

問われたフレデリクは、転がりながら答えた。

「そうか…。寂しくないか？」

「別に？兄さんは家の為に働いているんだ。だから寂しいなんて思っちゃいけないのさ」