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お嬢様♡レッスン

第91章 お坊ちゃま、ひと夏の恋

「何?」

フレデリクがジロリと綾芽を見下ろす。

「ちゃ…ちゃんと聞いてたから。貴方が…私の事を好きだって。でも、私は日本に好きな人が居るの。だから、貴方の気持ちには応えられない…」

綾芽が悲しそうに眉を八の字に下げてそう言った。

「そう…。じゃあ、キミはこの後、僕が女性を愛せなくなっても、関係ないって事だね?」

フレデリクは半分ヤケになっていた。

「折角、僕が真っ当な道を歩もうとしているのに、キミは僕を見捨てるんだ?」

「そ…そんなつもりはっ!」

「だったら、僕に教えてよ。女性の素晴らしさを。僕が他の女の子にも興味が持てるように」

「で…でもっ!」

「キミが記憶を取り戻すまでの間でも、僕の夏休みが終わるまででもいいから…。駄目?」

いつもは尖っているフレデリクが、まるで捨てられた子犬の様な瞳で自分に縋るその姿に、綾芽は心が締め付けられた。

プライドの高い彼が、自分を必要としてくれている。

そう思うと、何とか彼の気持ちに応えてあげたいと思ってしまう。

そして言ってしまうのだ。

「分かったわ…。お休みの間だけ…ね?」

斯くしてフレデリクは、綾芽の傍に居る権利を獲得したのであった。



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