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お嬢様♡レッスン

第12章 執事の思惑Ⅱ(葛城編)

高月は1日の業務報告の為に本館を訪れていた。

家令である葛城の、執務室のドアをノックすると、入室を許可する声が中から聞こえた。

「失礼致します。本日の御報告に参りました」

扉を開け、中に入ると用件を伝える。

葛城はこちら側に背を向けてデスクに腰を預け、外を眺めていた。

「お疲れ様でした」

葛城は振り返ると高月に労いの声を掛ける。

高月は上司である葛城に、業務の報告と問題点、対処法、改善点等を伝える。

「そうですか。分かりました。これについては検討します」

「宜しくお願い致します」

報告が終わったので退出しようと踵を返すと、葛城に呼び止められ椅子を勧められた。

「なんでしょうか?」

勧められた椅子に座ると、高月は尋ねる。

「今日は綾芽様と初めてのレッスンでしたね。如何でしたか?綾芽様は」

(成程。探りを入れて来た訳か。それ程迄にお嬢様に熱を上げていると言う事か?)

「お嬢様の成長振りには大変目を見張る物が御座います。まだ、この邸に入らして数日ですが、お嬢様としての自覚をしっかりとお持ちになって居られます」

「そうでしょう?私も綾芽様には驚かされました」

「それであのキスマークですか?」

「何の事です?」

「お嬢様のお身体に大量にお付けになったでしょう?」

「ああ、あれですか。済みません。綾芽様が余りにも可愛らしいので、つい付けすぎてしまいました。あれをご覧になったと言う事は、貴方も綾芽様の肌をご覧になったのでしょう?」

「まぁ、拝見しましたけど…」

「貴方の事です。綾芽様もかなり色々と学ばれた事でしょう」

「私はお嬢様を抱いてはおりません」

「えっ?何故?」

「何故って…私に抱かせたくないから、あんなにお付けになったんじゃないんですか?」

「いえ、他意はありません。本当に可愛らしくて無意識の内に付けていました」

「それは惚気ですか?」

「惚気けるも何も、綾芽様は私だけのお嬢様ではありませんし…。唯、貴方と綾芽様の魅力について話をしてみたかっただけなんですが…」

「女子高生じゃあるまいし、いい歳こいた大人の男が恋バナですか?」

「恋バナ?」

「『恋の話』ですよ!」

「ええ、それは存じておりますが…恋?私が?」

「そうでなければ何だと言うのです?」

「恋…これは恋なのですか?」

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