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お嬢様♡レッスン

第93章 真実の行方

「え?」

フレデリクの一言に、綾芽の動きが止まる。

「え?」

「『あやめ』って?」

今度は綾芽の一言に、フレデリクの動きが止まった。

(ヤバい!僕は何を口走ったんだ──!?)

「え?僕、そんな事言ったかな?」

彼女の素性を知っている事を彼女に知られてはいけないと、フレデリクは恍けてみせる。

「言ったわ。『あやめ』って。誰なの?本当は私ではなくて、その人が好きなのではないの?」

じとっとした目でフレデリクを見る綾芽。

記憶のない彼女は、その名前が自分の事であるとは、まだ気付いていなかった。

フレデリクは迷う。

本当の事を明かすべきなのだろうか。

しかし、兄は思惑があって、彼女に真実を伝えていないのだ。

勝手に話す訳にはいかない。

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