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お嬢様♡レッスン

第12章 執事の思惑Ⅱ(葛城編)

「悪いんだけどさ、君か高月のどちらかが、綾芽を息抜きに外に連れ出してやって欲しいんだけど」

「…と申されますと?」

「デートだよ、デェト!!逢い引き、ランデ・ヴー」

「はぁ…」

デートと聞いて葛城は困惑する。

「あれ?乗り気じゃないの?昨日の君の様子だと、綾芽に惚れたんだと思ったんだけど」

「お嬢様は大変可愛らしい方だと、好意は感じておりますが…」

「その気持ちで充分でしょ!君は何かと遠慮するけどね、もっと自分の思う通りにして良いんだよ?僕に遠慮する事はない。自由に何処に行っても良いし、好きな女性が居るなら、その人と一緒になっても良い」

「そんな女性はおりません」

「例えばの話さ。兎に角、僕は君の父上から君を託された。僕は君を使用人としてではなく、息子だと思って接してきたつもりだよ?君は遠慮するけどさ?」

「勿体無い事で御座います」

「そろそろミーティングが始まるから切るけど、いいね?君が嫌なら高月に行かせればいいから、綾芽の事を頼んだよ?」

「畏まりました」

「じゃあ。また明日!君の報告を楽しみに待っているよ!」

宗佑はそう言うとSkypeを切ってしまった。

正直、綾芽の事を独占したいと思う気持ちはある。

明日の事を高月は知らない。

このまま自分が誘って仕舞えぱ、彼女を独占出来る。

しかし、それではフェアではないと葛城は思う。

(また、お嬢様に選んで頂くか?)

しかし、それでは綾芽の心に負担を掛けるのではないだろうか。

彼女の為を思えば思う程、葛城は臆病になる。

(いい歳をした男が何を…)

葛城は自分の情けなさに苦笑した。

明日は高月に行って貰おう。

自分には、やるべき事が沢山あるのだから。

そう自分に言い聞かせて、スマートフォンを取り出すと、高月に宗佑からの指示を業務連絡としてメールを送る葛城なのだった。

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