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お嬢様♡レッスン

第12章 執事の思惑Ⅱ(葛城編)

「おかしいですか?」

「おかしいです!」

「そうですか。では以後使わない様に致します」

「そうなさった方が宜しいかと…」

「しかし、良かった。貴方が綾芽様の事を大事に想って下さるのが分かりましたから」

「本当は萌え話や恋バナがしたかったんじゃなくて、そちらが本題だったのですね」

「何の事です?」

「いえ、何でもありません。そろそろ失礼しても宜しいでしょうか?戸締りを致しませんと…」

「ああ、そうですね。私も見回りに行かなくては…」

「それでは失礼致します」

「高月、分かっているかと思いますが、今夜の事は他言無用でお願いしますよ?」

「勿論で御座います」

「それでは、お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」

高月は礼をして、葛城の執務室を出る。

(葛城さん…………意外と変な人だ…)

そう思いながら高月は綾芽の待つ別館・白鳥館へと急ぐのであった。

そして葛城は高月が出て行くと、ノートパソコンを立ち上げ、Skypeでニューヨークにいる主へとコンタクトを取る。

コール音が数回鳴り、宗佑の顔が画面に写し出される。

「おはようございます」

日本は夜の11時を回っているが、ニューヨークはまだ、午前10時を過ぎた頃である。

「やぁ、定期報告だね。ご苦労様」

スーツに身を包んだ宗佑が、画面の向こう側で微笑む。

「今、お時間は大丈夫でしょうか?」

「ああ、構わんよ。続けてくれたまえ」

革張りの重厚なシートにゆったりと腰を落ち着け、宗佑は葛城の報告に耳を傾ける。

「ほう、綾芽が?」

「はい。心無しか高月の雰囲気が穏やかになった様な気がします。まだ、お越しになって3日だと言うのに…。綾芽様は杜若氏や綾音お嬢様にある程度の東乃宮一族としてのご教育はされておられたのかも知れません」

「そうかも知れんな」

「それで、今後の事なのですが…」

「幾らお前が綾芽を欲しいと言っても、綾芽がそれを望まない限りはやらんぞ?」

「そんな事!滅相もございません!」

「なぁんだ…。そうなの?つまんない奴だな」

「旦那様、お言葉が…」

「ああ、大丈夫!秘書は今、出て行ったから!」

「ですが…」

「大丈夫だって!それより明日は日曜日で、綾芽のレッスンは休みだろう?」

「はい」

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