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お嬢様♡レッスン

第101章 話合

「認めるも何も…事実は事実として受け止めているだけです。そして彼女は私の元へと戻って来ると約束してくれました」

そう言って葛城は綾芽の手を握り、彼女に微笑む。

「貴方方もお分かりかと思いますが、彼女は約束を守る人です。この約束は果たされる事でしょう」

葛城は『ですから、心配はしていません』と付け加えた。

「たっぷり可愛がって頂いて下さいね?戻って来られた時に、貴女がどれだけ成長されているかを楽しみにしておりますよ?」

葛城はそう言って、余裕の笑みをウィリアムとフレデリクに向けた。

その瞬間、ウィリアムは彼には敵わないと痛感した。

愛し、愛される自信。

寛容さ。

信頼と絆。

二人を繋ぐ糸は自分の持つ挟みで断ち切る事等出来ないだろう。

そう感じたのだ。

フレデリクもそれは同じで、自分がいかに我侭で子供であったかと反省した。

彼は自分達の関係と気持ちを知っていて、彼女を自分達に預けてくれるのだ。

本来なら、自分以外の誰も近付けたくはない筈である。

独占欲だけが、愛を示すのもではない。

相手を尊重し、信じる事。

それも愛の形である。

『どうせ自分の元へ戻ってくるのだから』と見くびるのではなく、『戻って来てくれる』と信じる事。

自分達が止まり木であるのならば、彼は巣なのだとフレデリクは思った。

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