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お嬢様♡レッスン

第102章 溢れる想い

和やかに夕食を終え、ウィリアムと葛城はウィスキーのグラスを傾けながら、チェスに興じている。

綾芽は莉玖とフレデリクと三人で二人の試合を見守っていた。

「ふぅ~ん?キミのフィアンセってばなかなかやるじゃない?」

フレデリクは二人の戦いぶりに、感心していた。

「そうなの?」

チェスのルールが分からない綾芽にはさっぱりで、フレデリクと莉玖の顔を交互に見て尋ねる。

莉玖もチェスについては素人で、全くと言っていい程、分からない。

「兄さんは、英国の大会でも常にベスト3には入る頭脳の持ち主だよ?」

フレデリクは自慢気にそう言って胸を張った。

「よしてよ、フレデリク。我が大英帝国は、そんなに強いわけでもないんだから…」

「それでも、日本のチャンピオンよりは上でしょう?」

「日本はチェスよりも”将棋”というゲームがあるからね」

ウィリアムは、チェス盤から目を離さずに答える。

「チェック!」

彼は、駒を動かすとそう声を上げた。

どうやら、ウィリアムが葛城を追い詰めた様だ。

「ううむ…。流石ですね」

そう言って葛城は苦し紛れの一手を打つが、勝敗は既に決まっていた。

「チェック・メイト!」

ウィリアムが高らかに、そう言って葛城のキングを獲る。

「いやぁ、楽しくていい勝負だったよ」

ウィリアムはそう言って立ち上がると、葛城に手を差し伸べる。

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