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お嬢様♡レッスン

第103章 暫しの別れと新しい関係

翌日、葛城と莉玖は綾芽とロートマン兄弟に見送られ、ヒースロー空港から日本へと戻って行った。

二人を乗せた飛行機を見上げながら、ウィリアムが綾芽に尋ねる。

「一緒に帰りたかった?」

その問いに綾芽は少し間を置いてから首を横に振る。

「残ると決めたのは私だもの…。でも、彼に逢えないのは寂しいですけどね」

そう言って彼女は微笑んだ。

「綾芽…。ゴメン。僕の我侭のせいだよね?」

フレデリクは申し訳なさそうにそう言ったが、綾芽はそれを否定した。

「私が二人の傍に居たいと思ったんだから、気にしないで?私の記憶がない間、二人には本当にお世話になったのだもの…」

三人は飛行機が雲の彼方へと消えるまで、それを見送ると空港を後にする。

「兄さん、ペンザンスまで戻るのは大変でしょう?僕達、ロンドンに居ちゃ駄目かな?」

「それは構わないけど…」

「綾芽が残るのも、半分はビジネスの勉強をする為な訳だし、その方が都合が良くないかな?」

「それはそうだけど…」

フレデリクの言葉に何故か歯切れの悪いウィリアム。

彼の懸念は、ロンドンの邸宅では大っぴらに三人で過ごせない事であった。

使用人達が主人の趣味にあれこれ口を挟む事はないのだが、どこで噂を流されるのかは分からない。

彼の立場上、弟と特別な間柄である事が世間に知られるのは不味いのだ。

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