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お嬢様♡レッスン

第14章 とある日の家令の一日

その日も何時もの様に、何時もの時間に、目覚まし時計が鳴り出す前に目を覚ます。


午前6時30分。

ベッドから出ると、電気ポットに水を注ぎ電源を入れる。

お湯が沸くまでの間に身支度を整える。

顔を洗い、歯を磨き、髪を整えてから何時ものスーツに着替える。

シャツの釦を留めながら胸元をふと見ると、一昨日、綾芽様が付けた名残の痕が目に入る。

それを見て幸せな気分になり、微笑んだ。

着替え終えると丁度、お湯が沸く。

ティーポットとカップを温め、お茶を煎れるとノートパソコンを立ち上げ、主からのメールを確認しながらそれを味わう。

毎朝の日課である。


午前7時。

他の使用人達と朝食を摂りながらミーティングを行う。


午前8時。

各自に指示を出し、朝食を終えたら本来は主の朝食の給仕をするのだが、主・東乃宮宗佑氏は日本にいない事が多い為、ここ数日は彼の孫娘である綾芽様の給仕をしに別館へと向かう。

別館の事は高月に任せてはいるが、綾芽様に逢いたいが為に何かに理由を付けては別館を訪れている。

基本、高月の事は仕事の上では信頼しているが、彼は時々、綾芽様に対して行き過ぎた行動を取る傾向がある為、牽制も兼ねていた。


午前10時。

今日は綾芽様と高月が外出する事になっていた。

自分が指示を出したものの落ち着かず、また別館に足を運び、そこで綾芽様と高月のやり取りを目撃する。

楽しそうに高月と話す綾芽様に、心の中がもやもやするのを感じる。

高月は今日1日、綾芽様に『綾芽ちゃん』と呼ぶ事を許され、彼自身も『雅哉さん』と呼ばれるらしい。

自分の事は、愛し合っている際にも『葛城さん』だった。

それが何故だか悔しい。

この感情は何なのだろうか。


午前11時。

銀食器を磨きながらも綾芽様の事を考えてしまう。

高月とどちらへ行かれたのだろうか。

仕事に身が入らなかったが、いつもの癖で食器はピカピカに磨き上げていた。

頭を冷やしに地下のワインセラーにでも行こう。


午後0時。

自由時間だ。

この時間は外出しても良い事になっているが、取り立てて用も無い為、自室でお茶を飲みながら新聞を読む。

綾芽様は高月と楽しんで居られるのだろうか。

こんなに気になるのなら、自分が行けば良かったのだろうか。

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