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しかし、ダグラスは叔母の言葉に衝撃は受けたが、諦めた訳ではなかった。

彼は人懐っこい笑顔の下に野獣を飼っている肉食系の男だったのだ。

それを知っている人間は少ない。

勿論、叔母であるエミリアも知らない。

今夜のターゲットは綾芽。

彼は彼女を一目見た時からそう決めていた。

彼は一旦引き下がると自室に戻り、ピルケースの中から、錠剤を取り出した。

ナイトクラブに悪友達と出掛け、女の子をナンパした際にお持ち帰りをする時のアイテムである。

これを酒に混ぜれば途端に酔いが廻る。

彼女を介抱する振りをして部屋に連れ込み、想いを遂げるという算段だ。

彼はその錠剤をポケットに忍ばせると、再びリビングに戻り綾芽を探した。

ダグラスは彼女の姿を見つけると”チッ”と舌打ちをする。

綾芽の傍にフレデリクを見つけたからだ。

（アイツ…番犬の様に彼女の周りをうろついて…邪魔だな）

そこで彼は仲の良いメイドを探すと、フレデリクを誘惑する様に命じた。

「ほんのひと時、あの男を彼女から引き離すだけで良いから」

そう言ってメイドに薬を渡す。

メイドは主人の命令に頷くと、薬の入った飲み物をフレデリクに渡し、彼を綾芽から引き離しに掛かる。

何も知らないフレデリクはメイドから受け取ったドリンクを飲み干すと、暫くして視界が揺れ始めるのを感じた。

眩暈だろうか。