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お嬢様♡レッスン

第107章 ドキドキの晩餐会

フレデリクが居なくなったところを見計らって、ダグラスは綾芽に近付く。

「キミの婚約に乾杯させてくれないかな?」

そう言うと彼は近くのメイドから、シャンパングラスを二つ受け取り、その内の1つに錠剤を落とす。

気付かれない様に数回グラスを回すと、錠剤は跡形もなく消え去った。

それを綾芽に渡す。

何も知らない綾芽はそのグラスを受け取ると、彼と乾杯しシャンパンに口を付けた。

(何だろう…身体が熱い…。お酒のせいかな?)

綾芽は火照りを鎮めようと、ダグラスに断り、バルコニーへと出る。

流石伯爵家の邸だ。

ロンドンと言う都心でも、広い中庭がある。

それを眺めながらバルコニーに設えてあるベンチに腰を下ろした。

夏とは言え、ロンドンの夜は冷えるのだが、火照った今の身体には心地好いくらいだった。

「大丈夫?」

そう言う声に振り返ると、ダグラスが、グラスを二つ持って立っていた。

「はい。これ」

そう言ってグラスを手渡してくる。

「ダグラス、私…お酒は…」

そう言って断ろうとしたが、彼が『これはジュースだよ』と言ったので、ホッとしてそれに口を付ける。

どうやら、唯のフレッシュなオレンジジュースの様だ。

オレンジの甘味と酸味、そしてちょっとした苦味が口の中に広がる。

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