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お嬢様♡レッスン

第108章 Lesson19♥観劇してみましょう

「そうだ。ねぇ綾芽、バレエを見にいかない?」

フレデリクの夏休みも、もうすぐ終わりが近付いて来た、ある朝の事。

突然ウィリアムが尋ねた。

エミリアに何度かオペラを見に連れて行って貰った事はあるが、バレエは未だ未体験であった。

少女時代、バレエの漫画に魅せられた事のある綾芽にとってそのお誘いは非常に魅力的だった。

「ええ。是非、行きたいわ」

「そう。良かった。フレデリクは?」

「僕も勿論行くよ」

「そう?じゃあ、綾芽をエスコートして来てね」

そう言うとウィリアムは、場所をフレデリクに伝え、仕事に出掛けて行った。

指定された場所は『ロイヤル・オペラ・ハウス』───英国王室所有のオペラハウスである。

歴史は古く、初演は17世紀まで遡る。

当時のイングランド国王である、チャールズ2世がウィリアム・ダベナントなる人物に渡した特許状から始まった。

二度の火災により、建て直された現在のシアターは3代目となっているが、現在でも一部の座席に1856年に起こった火災を免れた物が使われている。

「ねぇ、フレデリク?ドレスコードはあるのかしら?」

由緒正しい劇場に行くとなると、それなりに相応しい服装があるのだろうかと、綾芽はフレデリクに尋ねる。

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