お嬢様♡レッスン
第109章 葛城の憂鬱
「はぁ───っ………」
窓の外を眺めながら葛城は、本日何回目かの深い溜息を零した。
葛城が居るのは、東乃宮グループの末端の会社の役員室。
彼は宗佑に命じられ、業績が低迷しているこの会社の立て直しの為に出向している。
過去の資料を見ながら、問題点を洗い原因を改善する事。
その仕事は特に憂鬱でも何でもないのだが。
彼の溜息の原因は他にあった。
「失礼しま~す。葛城取締役。お茶をお持ち致しましたぁ」
「ああ~ん!私はお茶請けにお菓子を作って来ましたので良かったら召し上がって下さぁい」
「ええ~!?何、その抜け駆け…。ああ、私は高畑常務からこちらの書類を取締役にお渡しする様にと託って…」
このキャピキャピと騒がしい女性達は、この会社の秘書達である。
皆、いい所のお嬢様女子大を卒業し、縁故で入社した者ばかり。
葛城が赴任して来てから、ことある毎にこうして彼の役員室へやって来る。
お嬢様とだけあって、皆、見た目は整っているが、葛城はそんな事には興味は惹かれない。
「お茶は10分前に頂きました。お菓子は結構です。書類はそこの書類ケースに入れて下さい」
葛城は額を片手で抑えながら、そう言うと『さっさと持ち場に戻って下さい』と言って彼女達を追い払う。
「それなら他に何か御用はありませんかぁ?」
お茶を持ってきた女性──橘あかりがそう言って食い下がる。
窓の外を眺めながら葛城は、本日何回目かの深い溜息を零した。
葛城が居るのは、東乃宮グループの末端の会社の役員室。
彼は宗佑に命じられ、業績が低迷しているこの会社の立て直しの為に出向している。
過去の資料を見ながら、問題点を洗い原因を改善する事。
その仕事は特に憂鬱でも何でもないのだが。
彼の溜息の原因は他にあった。
「失礼しま~す。葛城取締役。お茶をお持ち致しましたぁ」
「ああ~ん!私はお茶請けにお菓子を作って来ましたので良かったら召し上がって下さぁい」
「ええ~!?何、その抜け駆け…。ああ、私は高畑常務からこちらの書類を取締役にお渡しする様にと託って…」
このキャピキャピと騒がしい女性達は、この会社の秘書達である。
皆、いい所のお嬢様女子大を卒業し、縁故で入社した者ばかり。
葛城が赴任して来てから、ことある毎にこうして彼の役員室へやって来る。
お嬢様とだけあって、皆、見た目は整っているが、葛城はそんな事には興味は惹かれない。
「お茶は10分前に頂きました。お菓子は結構です。書類はそこの書類ケースに入れて下さい」
葛城は額を片手で抑えながら、そう言うと『さっさと持ち場に戻って下さい』と言って彼女達を追い払う。
「それなら他に何か御用はありませんかぁ?」
お茶を持ってきた女性──橘あかりがそう言って食い下がる。