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お嬢様♡レッスン

第110章 葛城の苦悩

(絶対に既成事実を作ってやるんだから!!)

そう心に決めて。


彼女も須藤同様分かっていないのだ。

葛城の立場がどんな物であるのか。

確かに葛城は宗佑のお気に入りであり、宗佑は例え綾芽とは破談になったとしても、彼をグループの重要な役に付けたいと思っている事は事実である。

しかし、彼がグループで働いているのは、全て綾芽の為であり、もし彼女と別れるような事があれば、グループを辞め、どこか別の国で執事に戻るつもりなのだ。

それは渋々ではあるが、宗佑も了承している事だった。

故に彼の現在のステータスは、綾芽と破談になれば、放棄されるのである。

それを知って尚、橘は葛城を欲しいと思うのであろうか。

(これはきちんと話しておくべきですね。そうすれば私に興味はなくなるでしょう)

自分は綾芽以外には考えられない。

もし、彼女と上手く行かないような事があれば、自分は彼女の前から去ろう。

遠い地で彼女の幸せを祈ろう。

葛城は綾芽がロンドンに残ると言った時から、そう心に決めていた。

綾芽は自分の元へ戻って来てくれるのだろうか。

いや、戻って来てくれる。

彼女は約束を守る女性だ。

彼等との約束を果たした後は、きっと自分との約束を果たしてくれる。

綾芽が笑顔を振りまく動画を眺めながら、葛城は沈みそうになる気持ちを懸命に気持ちを奮い立たせるのであった。

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