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先ず、葛城は秘書達に１時間早く出社する様に命じた。

この会社の始業時間は午前９時からとなっている。

故に８時には出社しなければならない。

秘書達からは抗議の声が上がったが、葛城は『嫌なら辞めて頂いて結構です』と冷たく突き放す。

どうせ働かなくても、彼女達が生活に困る事はないのだ。

それであれば、本気で仕事を求めている人間に席を空けた方がいい。

しかし、彼女達も東乃宮グループの会社で秘書を務めていると言うステータスを放棄したくはないので、葛城の言う事に従った。

彼女達が出社をすると、葛城は役員達の部屋を掃除する事を命じる。

掃除は業者が入っているのだが、これは気持ちの問題なのである。

彼は毎日、役員達のデスクを綺麗に雑巾掛けをする事を義務化した。

そして始業時間30分前には、役員達のスケジュールの確認と自分達のその日のスケジュールの確認。

担当役員だけではなく、役員全員が何処にいるのかだけは把握する様に命じた。

情報に疎くては、秘書は務まらない。

故に、朝刊に目を通し、業界の情報や株価の記事を切り抜いてスクラップをする事も義務化した。

現在では必要な情報はインターネットで幾らでも収集は可能であるが、新聞に目を通し、必要な情報を選び出す。

そうする事で記憶に留まらせる事。

これが重要なのである。

葛城はそれを始業時間前に終わらせる事を指示した。