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お嬢様♡レッスン

第113章 葛城の闘い

橘あかりの瞳の奥に、力のある光が宿る。

葛城はそれを見て満足そうに微笑んだ。

「分かりました。それでしたら、心を入れ替えて今から頑張りましょう?」

「はいっ!」

「ふふっ!それでは、早く服を着て下さいね?」

そう言うと葛城は立ち上がって彼女に背を向けた。

橘はそれまでの大胆さとは打って変わり、恥ずかしそうに顔を赤く染めながらブラウスの袖に腕を通し、釦を閉めると葛城の後ろ姿を見た。

広い背中。

思わず抱き付いてしまいたい程の。

でも、それは自分の為だけにあるのではない。

社員の人生、会長からの信頼を背負っているのだから。

そして彼が最も愛する人の人生も。

そんな事を考えながら橘が、ふと葛城の耳を見ると、それが赤く染まっている事に気付く。

(ふふっ!葛城さんもやっぱり恥ずかしかったのかしら?)

そう思うと、少しだけ悪戯心が涌いてくるが、橘はそれを理性で思い止まらせた。

いつかきちんと認めて貰えたなら。

そしたら少しは悪戯も笑って許して貰えるかもしれない。

それまでは、きちんと自分を磨こう。

「葛城取締役、もう着ましたから大丈夫ですよ?」

ジャケットを着終えると、橘は葛城に声を掛ける。

葛城はその声に振り向くと、きちんと身なりを整えた橘が、微笑んで立っていた。

彼女のその顔は今まで見た橘あかりの表情の中で、最も美しいものだった。

もう、大丈夫。

葛城はそう確信した。



「橘さん。それでは、早速、最後の研修を始めましょうか!」




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