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色を愛でる

第3章 ねんねんうっさいねん


どうやらサキもエセ関西弁に
ハマったみたいだった。
二人でエセ過ぎる関西弁を喋っては
キャハハハと甲高い
笑い声を上げていた


そんな事が続いたある日
私はタツヤと別れた

元カノが忘れられないって理由だ
よく分からない。
こんな理由で振られたことなかったし
上手く行ってると思ってたのに。

私だけ一人で
舞い上がってたのかな?
ものすごくショックだ。
でも、実を言うと本当は
長く続かないと思ってた。
理由を挙げたらキリがない

それでもやっぱりショックだ。
幸せの絶頂みたいな所にいたのを
幸せの理由である彼から、
その絶頂から後ろからポンっと
軽く落とされたんだ。いいんだ。
終わった事を考えても過去は変えられない
先の事を考えよう。


サキに話をたくさん聞いてもらった
たくさん慰めてもらった
たくさん元気付けてもらった
こんな友達がいる事でかなり救われた

3.4日経たないうちにまたサキと会った。

『ななっ元気になった?』
『う、うん!少しだけどね』
『あれ?ちょっと痩せたんじゃない?』
『んーちょっとご飯食べなかったりしちゃったからかな?』
『そうなん?!めっちゃ心配やん』
一瞬で頭の中をハテナマークが埋めつくした

落ち着け、落ち着け私。

『でも、ほら!痩せたし、ラッキー?みたいな?』

『ちゃうねん!ちゃうねん!男はな、そんな細い子求めてるんじゃないねん!
ちょいムチがええねんて!!』

意味が分からない。
なんでコイツは今だに
エセ関西弁なんだ

『えーでもほら、細い方が洋服綺麗に着れるし、別に男受けがどうとかじゃ…』

私が喋り切る前にサキが喋りだした。

『もーななは分かってないねん!男心が!オシャレなんて別にそんなオシャレじゃなくてええねんで!可愛らしい雰囲気とふわっとした髪型とふわっふわしてる性格大事やねんて!』

『は、はぁ…』
キャラまるごと変わってない?
関西のおばさん?みたいな?…
てゆーか無神経じゃない?
なんか怒りがこみ上げてきた。

そこに聞き慣れないiPhone独特の
着信音が鳴った。

『もしもし?あ?今?大丈夫やで』
サキの携帯だった。
隣にいる私にはiPhoneの
向こう側にいる男の声が微かに聞こえる


私はさきからiPhoneを奪いとった



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