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拝啓、ムコ殿!【ARS・O】

第6章 守りたい

智「俺の仕事については、もうイチコから聞いてると思いますが…。確かに、時々今日みたいなことがあります。」

静かな室内。
障子ごしに、前庭の木々の影がうつる。

智「たいていはさっきみたいにイチコが機転を働かせてくれたり、イチコが俺の姉ちゃんのふりをしたり。」

外からセミの声が聞こえる。

母「イチコは何も悪いことしてないのに、ごまかしたり嘘ついたり…、“殺す”とか言われたりしないといけないんですか。」

シャンシャンシャンとクマゼミが鳴いている。

智「確かに、一部に過激なファンもいることは事実です。イチコにはすまないと思っています。だから…。」

母「だから?」

下界での短い命を一秒たりとも無駄にはできないと、セミは全力で鳴いている。

智「だから、結婚したいんです。」

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