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拝啓、ムコ殿!【ARS・O】

第6章 守りたい

失礼します、と声があり、店員が入ってきた。

ひとりひとりの前に鴨せいろが運ばれた。

店員は、丁寧にお辞儀をして退室した。

智「“彼女”だから、こそこそしなくちゃなんねぇ。でも“嫁さん”なら?」

下を向いていたイチコが顔を上げた。

智「嫁さんなら、“殺す”なんて言われたら、堂々と“俺の嫁さんになんてこと言うんだ”って言い返せる。」

今まで晴れていた空が、急に暗くなってきた。

智「事務所だって“彼女”は守ってくれないけど、“嫁さん”ならきちんと対応してくれる。」

ポツリと雨が落ちてきた。

智「“彼女”じゃ駄目なんだよ。“彼女”じゃ守りきれないんだ。」

さとぴは、座布団を降りて私の前に手をついた。

智「イチコを守るために、どうか結婚させてください。」

イチコも、さとぴと同じように手をついた。

遠くで雷鳴が響くと、急に雨音が激しくなった。

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