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拝啓、ムコ殿!【ARS・O】

第8章 隠れアラシアン危うし

イチコが、雑誌を閉じると丁寧にミカン箱に戻した。

母「ドン引きしたでしょ?」

私は自嘲気味に笑った。

母「大野さんも、気持ち悪いでしょ?彼女の母親がこんなのじゃ。」

だって、まさかイチコの彼氏がさとぴだなんて、想像もしなかった。

こんなつもりじゃなかった。

嫌われた。

イチコにも、さとぴにも。

私の心の秘密の世界も壊れた。

そう思った。

その時、イチコが抱きついてきた。

イ「お母さん、ごめんね…。」

母「えっ、何であんたが謝るの?」

イ「お母さんの好きな人、横取りしちゃってごめんね…。」

イチコが腕にギュッと力を入れた。

イ「お母さんの方が、ずっと前から智くんのこと好きだったのに。本当にごめんね…。」

涙があふれてきた。
ぽろぽろ涙があふれてきた。

見ると、イチコも泣いていた。
イチコもぽろぽろ涙をこぼしていた。

智「あのさ…。」

さとぴが私の手を握った。

智「ずっと応援してくれてて、あんがと…。」

そう言って、さとぴは私に抱きつくイチコごと私を抱きしめてくれた。

泣き止まないふたりの背中を、ギュッと抱いてくれた。

「やっぱ親子だな。」

そう言って抱いてくれた。

お父さんは、ひとり口をパクパクさせるだけだった。

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