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サバイバルヘルパー

第5章 負傷

「とにかく、婆さん。なにか探してくるから、ちょっと待ってて。あ、トイレとか今は大丈夫か?」


「だいじょぶ」


「あ、はい、だいじょぶね。鍋と棒をここに置くから、なにかあったら叩くんだよ」と杖に使っている棒と大きな鍋を置いた。


『ガンガンガンガン』


「いや、たしかに、今はなにかあるけどもだな……それをなんとかしに行くわけだから、大人しくしてて。安静に……」


 小梅は苦痛に表情をゆがめながら、空を指差した。


「久美子さん、上に向きたいのよ」


「上!? あ、はいはい」


 俊輔は小梅の腰に手をあてて支え「はい、ゆっくりと体を上に向けてよ」と言って、ゆっくりと仰向けにする。


 小梅はグッと顔をしかめる。


 よほど痛いのだろう。


 俊輔は自分が使っている、シャツマクラを持ってきて、小梅の腰あたりにあてた。


 クッションの代わりだ。


 仰向けになった小梅は少し、気分がよくなったようだ。


「なるべく早く帰ってくるから。ゆっくりと寝ててよ」


「はい、いってらっしゃい」


 俊輔はバッグと、昨夜、小梅が鶏を捌いていた鎌を持って、溜め池の方へ、向かった。




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