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サバイバルヘルパー

第5章 負傷

 それでも、わりとしっかりしている部分もあり、そこだけを選んで、なんとか入ることができた。


 中はかなり広い。ボロボロに崩れてはいるが、その玄関だけでも、けた違いな広さだ。


 左側にはカウンターだろうか?


 それらしき台が残っている。


「なんだここ? スナック? なわけないか……」


 その奥に続く廊下が長く、部屋数も多い。


 全体に和室が多く、こけなのか、カビなのか、畳の所々、緑がかっている。


「待てよ……ここ、ひょっとして……」


 俊輔はさらに奥へと、進む。


 奥に進むにつれ、妙に湿っぽくなってくる。


 それにやたら、まとわりつくようにムシムシとしてくる。


「これって、まさか……」


 ある一室の、バリバリに割れたガラス戸の向こうから湯気が見える。


 そこに足を踏み入れた。ペラペラに表面が剥がれた板の床に、転がった竹のかご。


 そして、動かなくなった、開いたままのガラス戸の向こうに、それはあった。


「うわっ!! すげぇっ!!」


 そこは広い大浴場だった。


 床は土や石が転がる、大きなタイル貼り。


 壁のタイルは剥がれ落ちて、土壁が露出している。


 天井は、湿気で腐り、今にも崩れてきそうだ。


 

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