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サバイバルヘルパー

第5章 負傷

 だが、浴槽にはお湯は入っていない。


 かなり蒸気がこく、体が汗ばんでいるのか、湯気で湿ってきているのかが、わからないくらいだ。


 壁には水道はあるが、シャワーはない。水道はひねっても、水は出なかった。


「でも、なんで煙ってんだろ? あるはずなんだけどなぁ……」


 どこかにある、あれを探しはじめた。


「あれ」とは?


「絶対あるよ……温泉」 


 俊輔は、ここが民宿か旅館で、しかも温泉があると気付いた。


 よく見ると、奥にはもうひとつ、隣に続く入り口がある。


 どうやら、そこから湯気が出ているようだ。


 俊輔は迷わず、その奥に進む。


 そこにはひょうたんのように型どられた浴槽があり、そこには溢れんばかりのお湯がはってあった。


「やった!!」


 俊輔の気分が大きく高まった。


「そうか……ここ、やっぱり温泉が出てたんだ。こいつはいいや……」


 俊輔はそっと、お湯に手を入れた。


「うわっつ!!」


 すぐに手を引っ込めた。水で埋めていないため、痛いほどの熱さだった。


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