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サバイバルヘルパー

第5章 負傷

「あっちぃ……そうか、水がないか。水で埋めなきゃ煮込まれてしまう」


 よく見れば、茹であげられてこの世を去った、虫の亡骸が浮いていたり、底に沈んだりしている。


「これ……なんとかはいれねぇかな……虫だけでも取り除いて、綺麗にして、水で温度さえぬるく出来れば、婆さん入れるだろ」


 小梅を温泉に入れて、療養させようと考えていた。


 腰だけではなく、足も悪い。


 ただで、温泉に浸かれるなら、何時でも、いくらでも入り放題だ。


 浴槽の端には、口を開けたロバの顔の石像がある。


「ここから水を出してたんだな……てか普通、獅子じゃね?」


 一度、浴場から出ると、衣類を入れる四角い竹カゴをいくつかもらうことにした。


 しかも、棚の中にはホコリにはまみれていたが、ビニール袋に入ったタオルがいくつかあった。


「これも貰っていこう。なにかの役にたつ」


 タオルをバッグに入れ、かごをわきに抱え、今度は調理場にむかった。


「さすがに、包丁とかあるだろ」


 宿屋の調理場は、やはり広かった。


 もちろん、食べるものなんて、ありゃしない。




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