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サバイバルヘルパー

第2章 島

 岩場には、貝やカニ等がいる。だが、どれも火を入れないと食べれそうにない。


「困ったなぁ……そのままで食えそうなの、なにもないよ……」


 俊輔はため息をつくと、ペタリと砂浜に腰をおろした。


「はぁ〜、学校の向かいの中華屋に行きてぇ〜っ!!」


 頭の中で湯気が出る、焼き餃子が現れた。


 とても美味そうだ。


 だが、現実が妄想を打ち消す。


 そんな店が、都合よくあるはずがない。それに財布もお金もカード(中華屋のスタンプカード)も、全部広い海のどこかにある。


 拾ってくれた方は、ぜひ御一報を、と言いたいところだが、財布の中に入れているバイクの免許の住所とは、まったく関係のない場所にいる。


 また携帯電話もない。携帯には、いろんなサイトから集めたエロ動画……いや、世界遺産の写真が入っている。


 全て、パァーだ。


 そんな現実を考えると、こんな美しい海の景色も、黒の絵の具でグチャグチャに塗り潰したくなる。


「彼女にはフラれるわ、船は転覆するわ、島に流されるわ……生きているだけマシじゃねえよ。辛いだけじゃねえか」



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