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サバイバルヘルパー

第5章 負傷

 その拍子に、安定していない浮き石に足をとられ、思わず後ろに倒れこむ。


「うわっ!!」


 転んだまま、傘とシャベルを振り上げるが、ロープが緩み、傘だけが抜けた。


 すぐに上半身を起こした俊輔は手に残った傘を、槍のようにもった。


「やめろ……くるな、くるなぁーっ!!」


 傘は振り上げたと同時に、バサッと開いた。 


 そのとっさの出来事が功を奏したのか、突進してきたイノブタが急に方向を変えた。


「!?」


 去っていくイノブタについていくように、もう一頭と子供も去っていった。


「……」


 俊輔は、しばし放心状態。


 雨も降っていないのに、傘をさしていた。


「……そうか」


 俊輔はわかった。


 突然、目の前でバッと大きくなるものを見て、驚いて逃げたのだと。


 これは、突進してくるイノシシには有効な手段だ。


 イノシシに出会した場合、こちらからなにもしなければ、襲ってくることはなく、ソッと通りすぎるか、静かにその場を去るのがいい……と言うが、近頃は人間慣れしたイノシシが増え、街中でも、人間を怖がることなく徘徊することがある。


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