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サバイバルヘルパー

第6章 水

 旅館の周辺に、井戸らしきものはなかった。


 そうなると、岩山の頂上までの枝分かれした道の先を、次々と見ていくしかない。


 上から見ると狭く小さく見えるが、宿があったことから、以前はそれなりに栄えた島だったのだろう。


 だとすれば、生活のために必要な水は必ずある。


 島の中、水源となる川はないとみた。


 やはり、あるとするならば井戸だろう。


 別のルートを探ると、竹林に出た。竹はみな青々としていて、枯れてはいないようだ。おそらく、春にはまだタケノコがでるのではないか?


 だが、春までいたくはない。


 タケノコが出ようが、美味しかろうが、ここに居座るつもりはない。


 竹林を出ると、民家がいくつも並ぶ場所に出た。


 集落だったのだろうか?


 木造で、瓦屋根の家ばかりだ。


 だが、廃屋となってからかなりなるのか、壁が崩れ穴があいていたり、ドアが崩壊していたりする。


 俊輔が願うのはやはりひとつ。


「遺体がありませんように」


 やはり、その恐怖なトラウマがよみがえる。


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