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サバイバルヘルパー

第6章 水

 中を覗いて、陽が入って来て明るいところを選ぶ。


「すいません、おじゃましますよぉ〜! はぁ〜い、失礼いたしまーす」


 なるべく陽気に入る。



 よくよく考えても、なぜそうしたのかはわからないが、おそらく気を紛らわすためだろう。


「まず包丁を探さないとな」


 包丁がある場所といえば台所だ。俊輔は、台所がどこにあるかを探す。


 中はそれほど崩れてはいない。


 だが、歩きやすいというわけでもない。


 足を痛めているぶん、危な気な場所に行くのは避けたい。そのため、なるべく平らな床の面が見える場所を選んで足を運ぶ。


「ん、まあまあ床はしっかりしてる」


 だが、畳の間を踏むと『ムィシッ!』という柔らかな感触が伝わる。


「おっとぉーっ! ダメですよダメですよーっ!! ここ抜けたら、どんくさいじゃすまないよぉー」


 雨漏りなどの影響で畳が水を吸い、腐ってグニョグニョになってしまっている。


 下手に体重をかけると、床が抜ける。


「待て待て待て待て……ゆぅーっくりな、ゆぅーっくり」


 静かに歩を進める。


『ミリミリ……ペキッ!』



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