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サバイバルヘルパー

第6章 水

「どこかにあるだろ……あれば、食材とか見つけたら切れるし……魚もさばけるし……」


 この場合のさばけるは、自分の腕ではなく、小梅の腕のことだ。


 俊輔は魚以前に、野菜さえも切ったことがない。


 料理の経験はなく、インスタンスラーメンか、トースターで食パンを焼くことしかしたことがない。


「てか、いい加減あるだろ。旅館にはなかったけど、ここには……て、パターンが欲しいんだ」


 調理台の上には、鍋やフライパン、お玉はあるのだが、必要としているものが存在しない。


「フライパンか……もらっとこ……焼き網……もらっとこ……これは、果物ナイフだね……んっ!!」


 あったのか?


 だが、よく見ると……。


「バター塗るやつじゃねぇかっ!! ここにはバターもマーガリンもないよっ!! ボケぇっ!! 死ねっ!!」


 ただ、そこにあっただけで、ボケと呼ばれたバターナイフになんの罪があるのだろうか?


 それに、最初から命は持っていない。死ねと言われても、これ以上どうすることも出来ない。


「とりあえず、もらっておこう」


 もらうんかい。



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