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サバイバルヘルパー

第6章 水

「ここらも廃墟になってんだろ……なんか、やだなぁ……」


 とりあえず近寄ってみる。真夏の午前中であっても、その不気味さは夜と比較できないほどだ。


「このビジュアルは、明るくてもダメだって……俺、怖がりなのに……」


 一番左端の家の扉を、開けてみる。


 なぜか、ここだけが、綺麗に扉が残っていたからだ。


 少しガタつくが、扉はスムーズに開いた。


 すると……。


『ガサガサ』


 ネズミかなにかが動いたのだろう。


 俊輔は声も出さず、どっちが小動物か、わからないような動きを見せて、驚いた。


「うおおぉぉい、おぃおぃ……ちょっと、ビックリしたぁ……」 


 しばらく、呆然と立ち止まった後、中には入らず、静かに扉をしめた。


「はぁ……心臓に悪いよ」


 そう言いながらも、もう一度開けた。


 中はそれほど崩れてはいない。


 たが、怪しさはプンプンくる。


 体を半分入れて、様子をうかがう。


 奥に明かりが見える。


 窓からの光なのか?


 裏口があるのか?


 明るさがあるなら、いけるかもしれない。


 光に寄せ付けられる虫のように、奥に向かう。




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