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サバイバルヘルパー

第7章 食料調達

「マッチはある。テントの中だ」


 小梅はブルーシートのテントから、マッチ箱を取り出した。


「じゃあ、薪がいるわね。じゃ、集めてきますねぇ」


「え……あぁ、頼むよ」


 いつもの小梅と違い、調子が狂う。


 しっとりと丁寧に受け答えされるとは思っていなかったため、心の中でストックしておいたツッコミの文句は、すべて削除した。


「でもまあ、普通になったんなら安心だ。足が悪いと言っても普通に歩いてるもんな。大丈夫だろ」


 今は自分がやるべきことをしよう。


 ウシガエルを捌かなければならない。


 バッグの中を見ると四匹がかたまって足をバタバタさせながら、喉を動かしている。


「なんなんだ、この生っとろい貫禄は……このビジュアルが血生臭くなるのか?」


 刃物は鎌しかない。


 でも、無いよりはマシだ。


 少し離れた場所で、平らな石の上にカエルをのせる。


 今から、このカエルに刃物を刺しこむ。


 鎌を持つ手が震える。


 生きているものに、トドメをさすのは初めてだ。


 しかも、これから殺されようとしているのに、こいつはしっかり明日を見ている。



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