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サバイバルヘルパー

第7章 食料調達

 鎌を持つ手に力が入る。


 俊輔の左手がウシガエルの胴を掴む。


 カエルの鼓動が手に伝わってくる。


 生きている。


 いま、生きているのだ。


 だが、この鈍く光る鎌の切っ先が、いま、カエルのその身をえぐろうとしている。


「俺は、これから、生きる物の命を奪おうとしているのか……」


 何度も刃先を突き付けるが、どうしても躊躇してしまう。


「こんなんじゃダメだ。俺は、生きなきゃならない。生きるためには……食わなきゃならない。魚も、牛や豚、鶏も生きている。それらすべてが、熱く流れる血潮を涙と一緒に流しながら、この身を差し出してくれている……いや、いろんなこと思っても、思うだけ時間の無駄だ。一気にやりゃいいんだ」


 家畜動物の屠殺場で働く人は凄い。


 自分は魚も捌けない。


「あかん、ため息しか出ない」


 項垂れる俊輔の横から、手が伸びる。


 その手がウシガエルを掴み取る。


「えっ!?」


 その手を辿って見る。


 カエルを掴んだのは、小梅だ。


「はぁっ? なんで?」


 小梅はウシガエルの後ろ足を束ねて持つと、お腹を上に向けて、そのまま石に叩きつけた。



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