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サバイバルヘルパー

第2章 島

 砂浜をどっしりと遮っているように見えただけで、あっさり向こう側に移動できた。


 巨岩の向こう側はまた砂浜が広がる。


 海の反対側はでっかい屏風岩と呼ぶにふさわしい、むき出しの岩肌が続いていた。


 見ると、そこに小梅がいた。


 ヨタヨタと右足を引きずりながら歩いてくる。


「あれ? 足が悪いんだ……」


 元から悪いのか、それとも転覆事故で痛めたのか?


 どっちにしろ、小梅にしてみれば、慣れ親しんだ現代文明なんてない島の中、かなりの負担になっていることは間違いない。


 俊輔は小梅に駆け寄って、手をとった。


「婆さん、大丈夫か? どこ行ってたんだよ、心配したぜ」


 小梅はボォーッと、俊輔の顔を眺める。


「あのね、おトイレがね、ないの」


「トイレ!?」


 こんな場所、どこを探したってトイレなんてあるもんか。


 もし、あったにしろ、こんな自然の中にある公衆便所なんて、気味が悪くて入る気がしない。山や田舎の公衆便所なんて、壁に見たことのない虫やサナギがいたりする。ましてや、水洗式じゃなかったら、あの穴に落ちそうでいやになる。



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