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サバイバルヘルパー

第7章 食料調達

 小梅は砂浜に立っていた。


 空を見つめ、両手のひらを重ねて上に向け、なにやらボソボソと呟いている。


「うわっ!! ヤバい、宇宙に向かって交信してやがる」


 予想のひとつが的中した。


 すると小梅は、両手を大きく広げ、奇声を発した。


「ああぁ〜〜あ、はっはっは、はっはっはっ、はぁ〜あああ〜」


「あれは、オペラだな。あのままだと血圧が上がるだろうから、やめさせなきゃな」


 俊輔はとりあえずハグして、背中を軽くポンポンと叩いた。


「はいはいはい、お婆さん、寂しかったんだねぇ〜」


「暑いの」


 俊輔は離れた。


「なにやってんだよ婆さん。まだ、朝だし、ちょっと涼しいからいいけどさぁ、昼間にやっちゃダメだよ熱中症になるからさ」


「久美子さんに、聞かせたいの」


「いま、聞いたから、もういい」


「本番を聞かせたいの」


「リハーサルで充分だから……てか、いつも俺がいない時にやってんの?」


「朝ごはん……まだ?」


 会話が外れた。


「朝ごはん!? 朝ごはんねぇ……あ、山芋があるから」


 とりあえず小梅を日陰に移動させた。


「いいかい、危ないことはしないこと。海に近付いちゃダメだよ」




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