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サバイバルヘルパー

第7章 食料調達

 また小梅の徘徊だ。


「なにやってんだいもう……美味しいカキがあるのによう」


 ウニだ。モノを見ずに、空を見つめてスラッと言うと、時々言い間違えるという脳内のトラップに、つい、ひっかかった。


「……ちょっと、1個食ってみようかな」


 鍋からウニをひとつ取り出す。表面のトゲが動いてるのが見える。


「あ、やっぱりウニって動くんだな。こうやって本物を間近で見るって、なかなかないもんな」


 俊輔は先ほど手に入れた包丁を使って、さっそく割ってみることにした。


「確か、テレビでこんな風に割ってたな」


 ウニの裏にある口に包丁の先を入れ込み、半回転させてから割ってみた。


「おぉっ!! 割れたっ!! イガグリほど尖ってないから、そんなに痛くない」


 初めて手にしたウニに、やや興奮気味だ。 


 だが、割ってみて、消沈してしまった。


「少なっ! 中身、少なっ!!」


 出てきたのは、小指の先に鼻くそ程度。


「これだけか……軍艦巻きにボッテリのってるのを想像してたけど……うわ、寿司食いてぇーっ!!」


 想像で無性に食いたいメニューを増やして、一人で苦しんでいた。




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