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　のせていた山芋もない。


　なにかが、かかっている。


「マジかっ!?」


　恐る恐る、近付いてみる。


　もし、狂暴な動物だったら危ないと、落ちていた、まあまあな大きさの棒を手に取った。　


　ゆっくりと近寄る。


　心臓がドクドクと高鳴り、緊張感が増す。


　覗いてみた。





　小梅だった。




　急に落ちたせいで驚いたのか、穴の中の小梅は放心状態だった。


　もっとも驚いたのは俊輔だ。


　見えた人の顔で驚き、それが小梅だったことで、さらに力が抜けて、ずっこけた。


「なにやってんだよ婆さんっ!!　なんで、こんな所をさまよって、穴落ちてんだよっ!!　てか、大丈夫かっ!?」


　驚いた顔で上をむく。


「怖かったのよ。腰が痛いのよ」


　落ちた勢いで、腰を痛めたようだ。


「待ってろ、いま助けてやるからな……てか、なんで落ちんだよ」


　上から引っ張り上げるのは難しいと思ったのか、まず俊輔が指示を出した。


「いいか、いま、踏んでいるそのシーツを丸めて、その上に乗るんだ……そうそう……そうやって丸めて……いや、ハイッて渡されても」