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サバイバルヘルパー

第7章 食料調達

 初めて温もりのある生き物を、この手で殺めようとしている自分に抵抗があった。


 だが、このままでは、イノブタも苦しいだけだ。


 後ろ足が何度も足に当たる。


 鎌を手に取った。


「ふぅー、ふぅー、ふぅー、ふぅー、ふぅー、ふぅー……」


 呼吸が激しくなる。


 狙うは首筋。


 鎌を振り上げる。


 決めてしまえば、自分はこいつを見て、どう思うのだろう?


 その前に、自分はたった一瞬を、無事に決められるのだろうか?


 出来るか出来ないか、やるべきかやらざるべきか、たった一振りの決断が出来ず、葛藤する。


 小梅は鶏も捌いた。ウシガエルも四匹捌いた。どちらも同じ命だ。自分達は、数々の命を頂いていたんだ。


 魚も、牛も、豚も……トンカツ、酢豚、角煮、チャーシュー。


「そうだよ、こいつをバラしたら、かなりの食が手に入る。生きるんだ。生きるんだ。これが自然の摂理。食物連鎖」


 俊輔は鎌を振り上げた。


「……悪いな……ごめんな!! 神様、許してくれ」


 鎌を振り下ろした。


 イノブタの断末魔の叫びが耳に刺さる。


 手には生暖かいのが、ビシャビシャとかかった。



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