テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第2章 島

 小梅はつい先ほどまで、疲れた表情をしていたが、杖のおかげか、少しマシのようだった。


 その杖を頼りに、ゆっくりと足を進ませる。


「お、婆さんどう? 使いやすい?」と聞いた。


 小梅は目を細くして、笑って言った。


「ありがとうねぇ〜、久美子さん」


「えっ……やっぱりそこは久美子かよ……」


 俊輔はガクッと肩をおとした。


 小梅を石に座らせ、バッグを開けた。


 岩場で集めてきた、たくさんの巻き貝や海藻類をまとめる。


「さて、どうするかだ……」


 バッグの中には、ライターやマッチなんてものはない。


 この中にあるもので、火をおこせるだろうか?


 俊輔はまず、新聞紙を一枚ずつ広げた。


 やはり、水に浸かっていたのだろう。ベタベタに濡れていた。


 だが、まだしっかりと太陽の熱が残っている。


 乾かして、燃やすことくらいは出来るだろうと、まだ熱い砂地の上に広げた。


 これからすぐの課題が、火をどうやって、手に入れるかだ。


 後は濡れた手帳と本がある。


 手帳を広げてみるが、メモされているところはインクが滲んで、読むことができない。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ