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サバイバルヘルパー

第8章 風呂とイノブタクッキング

 俊輔は肉を頬張る。


 焼けた肉の風味が、口いっぱいに広がり、塩味がさらに味を引き立てる。


「うっまぁーっ!! こんな、ごっつい肉、贅沢だぞおい」


 島で、まさか肉を食えるなんて思ってもみなかった。


 出来ることなら、あのイノブタを竹に刺して、炎の上でクルクル回したかった。


「でも、これ食えるだけで嬉しい。もう、手にはいらないだろうなぁ」


 俊輔はたっぷりと肉を堪能。


「食った……すげえ食った……今日はもういらない」


 初めて、腹が苦しくなるほど食べた。大物を仕留めた、自分を祝ってのパーティーだ。


 だが、食べてゆっくりはしてられなかった。


「まだ、仕事はあるんだよ」


 残りの海水の鍋を、再び火にかける。


 火の威力は弱まってきたが、薪を増やすことなく、そのまま放置。


 そして、バッグと鎌、ろうそくとマッチを持って、立ち上がる。


「もっかい、あの温泉宿に行くか」


 余った肉をバッグに詰め、夜の森に一歩踏み出した。


「やべ……怖い……」


 月の光も届かない森の中、明かりも無しに進むのは、目を閉じて道路沿いを歩くほどの怖さがあった。


「視覚障害の方が、杖一本で歩くのって、よほどのことなんだな」



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