無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　自分の勝手な想像に、凍りついた。


「なに、考えてんだよ俺は……よけいに、入りずらいじゃねえかっ!!」


　だが、その可能性も否定は出来ない。


　神秘的な力が働いたのか……それとも、ポルターガイスト……。


「なんにせよ、怖がっちゃ先には進めねえよな……そうよ……霊とかいるんなら、きっと神もいる。神様、守ってくれ」


　中に入ってみる。蛍光灯が数本、間違いなく点灯している。


　時折、キン……キン……と音を立て、点滅する蛍光灯もあった。


　中は静かな厨房。ただ、明るいだけのように思える。


「ついてるってことは、電気があるって、ことだよな」


　俊輔はとりあえず必要なものを、集めることにした。


　厨房の中にある、大きな鍋、フォーク、お玉、フライ返しを手にいれた。


「よく見ると、ここのコンロって、薪じゃなく、ガスなんだな。ガスボンベかなんかで使ってたんだろうな」


　ガスの元栓をひねってみだが、さすがにガスまではつかない。


「よし……あれを取ってこよう」


　俊輔が向かったのは、大浴場の脱衣場だ。


　ここに来ると、温泉の熱気がまとわりつく。