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サバイバルヘルパー

第8章 風呂とイノブタクッキング

 その横の壁に、埋まった金庫のようなものがあった。


 褐色で、見た目にはどっしりとしている。


 俊輔は部厚い蓋のようなものを、開けてみた。


 中は灰と炭でいっぱいだった。


「薪ストーブか? それか、直火のオーブン?」


 オーブンであれば、調理スペースがなければならない。だが、それらしいものはなかった。


「ん?」


 俊輔は急いで大浴場に向かった。


 即席の栓を詰めた浴槽をよく見てみる。


 俊輔はわかった。


「あっ!! 薪風呂か!! 中に水を入れて、薪に火をつけて焚くんだ」


 俗に言う、五右衛門風呂だ。だが、そうすると、底に沈める板がなければ入れない。


「それだったら、こんな面倒なことをしなくてすむ」


 鍋や洗面器にお湯を入れておいて、冷ましておけば、熱くなったらうめることができる。


「ここの浴場は、夏は水風呂。冬は五右衛門風呂として使用し、なおかつ調理場の薪ストーブも兼ねていたのだろう。たぶんね……」


 適当な想像をしながらも、お湯の中に手を入れる。


「うん、いい湯だ」


 俊輔は服を脱ぎ、浴槽の中に足を入れた。


 久しぶりの風呂。足から伝わるお湯の温度に、俊輔は泣きそうだった。



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