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サバイバルヘルパー

第8章 風呂とイノブタクッキング

 俊輔は椅子をぶつけた犬に、今度は椅子を振り下ろした。


 頭に強打を受けた犬は、悲鳴を上げ、のたうち回る。


 犬にも性格はある。一匹は、割れたガラス戸の音に驚き、入り口まで下がり、躊躇している。


「へへへ……こいよ、ほら、あぁっ!?」 


 俊輔はダメージを与えた犬に対し、フルスイングで椅子をぶち当てた。


 その姿は、まるでバーサーカー。


 俊輔の勢いに圧倒されたのか、残り二匹は、少し下がって吠えまくるのみ。


 動物は背をむけて逃げる者を、弱いものと認識して襲ってくる。それは動物の性格にもよるが、俊輔は正面から向かい合って、逆に大きく暴れてみせた。


 一匹を叩きのめして、恐怖を与え、次はこうなるぞと見せ付けた。


「そう、逃げれば負け。もっといたら無理だけど、この程度ならなんとかなる」


 二匹はただ吠えるだけで、襲ってくる気配はない。


 俊輔は、椅子を二匹に向かって放り投げた。


 怯んだすきに、両手を上げて「ぐぁーーっ!!」と叫んだ。


 危険を感じたのか、二匹の野犬は足早に逃げていった。



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