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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 肩を落としてうなだれていると、そこに小梅が現れた。


 俊輔はすぐに気がついた。


「婆さん……」


 小梅は笑っている。


 俊輔は詰め寄った。


「婆さん、肉しらねえか? 肉! ここに干してただろ!! なあ、肉、どこにあるかしらないか?」


 俊輔は小梅を疑っていた。


 なにか、また余計な行動を起こし、どこかに持って行ったと思った。


 木に吊るしてあったものを、全部持っていけるのは、一人しかいない。


 小梅はそう問い詰められても、ニコニコとしている。


「婆さん、あれは俺達の保存食なんだぞ! 知っていたら教えろよ!!」


 肉が無くなったことと、なにも言わない小梅に対し、やや苛立ってきた。


「心配しないでください、俊輔さん」


「えっ!?」


 普通に戻った。それは、小梅が自分を俊輔と、名前で呼ぶことでわかる。


「ば、婆さん、なにかしたのか? 肉をどうにかしたのか?」


「あの塊のままだと、なかなか干せませんよ。しばらく沸騰して冷ました塩水に漬け込んで、それから薄く切らないと」


「えっ?」



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