テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 小梅は巨岩の向こう側の浜に、俊輔を誘導する。


「あっ!!」


 俊輔は思わず、声を上げた。


 大きな板の表面に、たくさんの薄切りになった肉が並べられていた。


「えっ、あれ、婆さんがやったの?」


「あのあと、燻製にすれば長持ちすると思いますよ」


「うわぁっ!! 助かる!! 俺、なんにも知らねえからさ。全部、適当だったんだよ。ありがとうな、婆さん」


 小梅は微笑んで、会釈する。


 干し肉を作るには、いろいろな方法がある。


 肉によっても、多少の違いはでるが、塩揉みなどのした処理を行わないと、傷んでしまうことがある。


 水抜きや塩揉みを繰り返し行い、冷蔵庫で冷やしたのち、薄く切って天日干しをする。


 小梅が行ったのは、すぐ乾燥できるようにしたものだ。 


 俊輔は感動のあまり、身震いした。


「助かったよ、本当に助かった。あ、燻製作ったんだよ。婆さん、食べるか?」


「いえいえ、今はなにもいりませんよ。私は私でやることがございます」


「やること? いや、婆さん、無理するなよ。足も悪いんだし、腰も完璧じゃないだろ」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ