テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 だが、昨夜の人影がどうも気になる。


 幽霊なのか、自分の影なのか、それとも……。


 ゴクリと生唾を飲みながら、あの部屋を確かめることにした。


「気になって、なにも手がつけられなくなる」


 とは、言っているが、これは自分に言い聞かせている言い訳な一人言だ。


 開いている扉が見える。あの部屋が、昨夜、人影を見た部屋であろう。


 幽霊なら、こんな明るいうちには現れないだろう。


 そう思って、普通に開けた。


 目の前に現れたそれに驚き、俊輔はムチウチをおこすほどに首をのけ反らせた。


「どぅおわぁーっ!!」


 そこにあったのは、奥の壁にもたれ掛かるように座る、大人の男性と思われるミイラだった。


「な、な、なんだこれっ!! 遺体かっ!?」


 昨夜見た人影とは、これに間違いない。


 一瞬しか見てなかったため、ミイラだと判断できなかった。


「ヤバいな……ここの従業員だったのか?」


 ほぼ白骨化し、ボロボロに崩れた皮膚が、所々付着している。


 茶色く変色したワイシャツ、ドロドロに染み付いた紺色のスラックス。


 腹部に切れた痕がある。殺害されたのだろうか?




ストーリーメニュー

TOPTOPへ