
サバイバルヘルパー
第9章 いかだ
よく見ると、スラックスのポケットからなにか見えている。
俊輔は怖々と近寄って、それに手を伸ばす。
「ご……ごめんなさい……ちょっと、見せてください……」
指でつまんで、ゆっくりと引き出した。
黒く汚れた、ビニールのパスケースのようなものが、出てきた。
中にあるのは、名刺だろうか?
それも染み付いて、字がよく見えない。
「旅館……いす……いなも……旅館てことは、ここの従業員かな?」
名刺は2枚あった。
もう1枚はまだ、読みやすかったが、名前までは読めなかった。
「いすゞ屋かぁ……ここの名前かなぁ?」
名刺の後ろに、もう1枚なにか入っている。
それは、免許証だった。シュッとした中年男性の顔写真の横に「稲本幸三」という名前があった。
「小型船舶免許か……てか、三段落ちで汚れた名刺の、隠された謎わかっちまったよ。旅館いすゞ屋の稲本幸三さんだろ……」
俊輔はそっと、遺体の横にパスケースを置いた。
「あの……なにもできませんが、ご冥福をお祈りします。船舶免許持ってた方なんすね。僕、いかだ作って、この島を出ようと思ってます。力、貸してください。出る前に、線香あげにきます。そして、必ず警察の方にお知らせします。待っていてください」
俊輔は怖々と近寄って、それに手を伸ばす。
「ご……ごめんなさい……ちょっと、見せてください……」
指でつまんで、ゆっくりと引き出した。
黒く汚れた、ビニールのパスケースのようなものが、出てきた。
中にあるのは、名刺だろうか?
それも染み付いて、字がよく見えない。
「旅館……いす……いなも……旅館てことは、ここの従業員かな?」
名刺は2枚あった。
もう1枚はまだ、読みやすかったが、名前までは読めなかった。
「いすゞ屋かぁ……ここの名前かなぁ?」
名刺の後ろに、もう1枚なにか入っている。
それは、免許証だった。シュッとした中年男性の顔写真の横に「稲本幸三」という名前があった。
「小型船舶免許か……てか、三段落ちで汚れた名刺の、隠された謎わかっちまったよ。旅館いすゞ屋の稲本幸三さんだろ……」
俊輔はそっと、遺体の横にパスケースを置いた。
「あの……なにもできませんが、ご冥福をお祈りします。船舶免許持ってた方なんすね。僕、いかだ作って、この島を出ようと思ってます。力、貸してください。出る前に、線香あげにきます。そして、必ず警察の方にお知らせします。待っていてください」
