テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 しばし、合掌して、頭を下げる。


 そして頭を上げ、立ち上がってその場を去ろうとした時だ。


「っ!!」


 左足首に、なにかが引っ掛かった。


 振り返って、足元を見た。




 遺体の手が、俊輔の足を引っ掛けるように掴んでいた。


「うわっ!!」


 心臓が縮こまるような震えを感じた俊輔は、とっさに走り出した。


 足を引っ張った拍子に、手がはすれ、遺体が前のめりに倒れた。


「うわぁーーーっ!!」


 生き返って襲ってきたように見えた。


 飛ぶように、外へ逃げ出した。


 あまりの恐怖に俊輔は、二度とここには来ないと誓った。


「ヤバいヤバいヤバい、あれはダメだろ……くそ、せっかくの憩いの場所になるはずだったのによ……物置のものを勝手に拝借したのが、悪かったか? すいませーん、お借りしましたぁーーっ!!」


 そう大声で告げると、走って去っていった。


 井戸の場所まで移り、水を汲み入れると、急いで浜に戻った。


 水が入ったペットボトルを浜に置くと、また山に入っていった。


 今度は、手に鎌とノコギリを持って走っていった。


 向かったのは竹林。


 探しているのは、ちょうどいい細さの竹だった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ